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ヴィリニュスからタリンで乗り継いで、やっとコペンハーゲン空港に到着。でも、ヴィリニュス空港で知り合った大学生の女の子が偶然にもどちらのフライトでも隣の席だったので、むしろ楽しい時間に。タリンの空港で飛行機を待ってる間には、リトアニアの若手の短編映画を4本ほどコンピュータで見せてもらいました。全体には暗いトーンのものが多かったけど、最初に見たコメディはなかなかの秀作。彼女もこれからスウェーデンの大学に交換留学をするとのことで、リトアニア人にとってスウェーデンって相当魅力的なようです。もう何人もスウェーデンに行く、とか、行きたい、という学生に会ったし。物価の差がすさまじい両国だけど、留学生はどうやって生活してるのでしょうか?気になる。

それはともかく、コペンハーゲンでは乗り継ぎ便ではなかったので、一度すべての荷物を受け取ってから再度チェックインしなければならず、時間もあまりなかったのと、日本行きのゲートに入ってしまうと、小さなセブンイレブンがひとつあるだけで、以前は空腹のまま飛行機に乗る羽目になったのを思い出して、荷物検査をする前に、バーガーキングに行きました。

リトアニアでのじゃがいもづくしの料理にうんざりしていたこともあって、とにかく肉を、たらふく肉を、と思っていたのだけど、そこは物価高の帝王、デンマーク、の、しかも空港。レストランでは悲しくなるだけだと思い、比較的リーズナブルなバーガーキングへ。でも、ダブルワッパーセットで1400円くらいは取られたけど。。

そこで、出来上がるまでカウンターの横に立って待っていたら、40歳くらいの背の高い、凛々しく知的だが少しだけ神経質にも見える表情をした、質のいいシャツを着た男性が、7~8歳くらいの女の子と一緒に注文しにやってきた。女の子はおおきなクマのぬいぐるみをカートに乗せ、ピンクのTシャツに、ピンクのナイキという出で立ち。彼女とはずっと英語で話していた彼は店員に流暢なデンマーク語で注文。最初に単品でいろいろ頼みカードで支払っていたが、娘があれも欲しい、と言い出したので、すぐ後にセットにするなど、買い方によって値段が変わることに気づいて、それについて訪ねていたのだけど、もうカードで支払ってしまった後だったので、そのまま単品で追加して2度目のサインをしていた。最初はなんの気なしに普通の親子だな、と思って見ていたのだが、父親と思われる彼は、娘のブロンドの髪を手に取り、キスし、「君の服の色と合っていてとてもかわいい」と言いながら、その表情からはこちらが切なくなってしまうほどの愛情を送ってましたが、娘のほうは喜ぶでもなく、嫌がるでもなく、ふーんと言った感じ。ほどなくしてぼくが座っていたカウンター席の横に二人が来て、娘はマクドナルドの話をしていたが、父親は「マックもいいけど、バーガーはここのほうがうまいよな」というようなことを言っていたけど、あまりハンバーガーを食べるタイプには見えない。チラッと見ると、カウンターには子供が一人で飛行機に乗っていくときに、係員が誘導して手続きをするために、首にかけさせておく紺色の書類ケースが置いてあった。二人の会話を聞くともなしに聞いていると、父親はイギリス英語を話しているようなのに、娘はアメリカ英語だった。口の周りにケチャップを付けた彼女に紙ナプキンを渡していたのだが、彼が何度となく口にした紙ナプキンを意味する単語が英国英語の「serviette」だった。完全にただの推理だが、おそらく彼はデンマーク人で、かつて結婚していたか今も結婚しているがそこにはいなかった女性がアメリカ人であり、娘はおそらくその母親と住んでいるはずだ。その証拠に父親の切なさ感は徐々にアップしていき、ハンバーガーを食べてるだけなのに、なんか泣きそうな雰囲気。とするならば、やはり娘は夏の間一人でデンマークに父親に会いに来て、大きなクマのぬいぐるみを買ってもらい、これからアメリカに帰るところだったのだ。まるでフラジャイルな宝物でも扱うように彼女を抱きしめる父に対して、娘は終始普通の態度。これからおそらくしばらくは会えないのだろうに。

そこでジャン・リュック=ナンシーがかつて子供たちのためにした、恋愛についての小さな講演を思い出した。主には男女間の恋愛に関して話をしていたが、当然それとは異なる愛の状態について、子供たちからの質問にもきちんと受け答えしていた。そのときに彼が、親子間の愛情はいつも一方通行だ、というようなことを言っていたのが、この光景を前にふっと浮かんだ。昔はわからなかったし、考えてもみなかったが、自分も親になるかもしれない年齢になってみると、その意味がわかったような気がした。

permalink  August 27, 2009
ヴィリニュス滞在も(どうでもいいことですが、リトアニア語で書くと、Vilniusなのでヴィルニュスだと思うんですが、日本語表記はなぜかヴィリニュス。どうしてかなと思っていたら、ロシア語では(ラテン文字で表すとすると)Vilinusのように書くので、それが理由かと。この街の名前はロシアから伝わったんでしょうね)きょうで最終日。あしたの早朝には空港に向かいます。
せっかくなので、記念にツェッペリンという例のリトアニア料理(もちもちしたジャガイモの超巨大ニョッキの中に挽肉が入っていて、ベーコンチップ入りのサワークリームをかけて食べる)をランチにいただき、さっそく胃もたれ。重い。そのあとはこちらで知り合ったリトアニア人の友達と少しだけお茶をする。
やはり夏の間は地元っ子が少なくなって、観光客だらけになってしまうので、なんらかのプロジェクトをしたい場合には休み以外の時がいいですね。まあ、その休みの日じゃないときに来るのは困難ですが。
今夜は数少ないちゃんとしたミーティングのひとつがあって、写真フェスティバルのディレクターと会います。ああ、ドキドキ。これまでの感じだと、あまり成果は期待できませんが、それにしても自分の作品を説明することの難しさったら。しかもまた今までとは少し違った制作方法に切り替えている途中なので(ポートレート専科ではなくなりました。エングストロームについて書いたときにも思ったけど、必要であれば人物も撮りますが、人物写真を撮るために準備することはもうないだろうなと。いままでずっと協力してもらってたエストニア人のミューズLを撮っても、なんか違う感じになってしまっているので、いよいよ変化の時です。軽さにこそ本質は宿る、的なことをニーチェが言っていたような気がしますが、そういった意味で、写真に軽さを、そして深刻ではないながらも自分にとっては大切な小さなことを拡大も縮小もせずそのままとどめておくことができたらなと思います)、より説明するのが困難です。ホームページのトップの文章も書き直さなきゃな。そういったテクストも重要になってきそうな、今年のシリーズ「minimissing」。なんとかいいものになるといいなと思っています。
そう思ったときに、行為(アクト)ではなく動作(ジェスト)としての、しかも、緩やかさのなかにある非決定的で非説明的で、決して攻撃的でない、「動作そのもの」の魅力をトゥオンブリ(のとりわけ書かれた文字)に見たような気がしたのです。
ちなみに、29日に京都大学で開催される表象文化論学会(会員になりました)の若手研究者によるフォーラムが面白そうです。池田亮司の「Matrix」における、音と身体の境界についてだそうです。「聞こえる」とはなにか、とても興味深いテーマです。なにか写真研究に活かせないだろうか、そんなことばかり考えてしまいます。手は一向に動かず、ゆえに論文も一向に進んでいませんが、そもそも写真の何について論じたいのか、それがクリアにならないと、いままで書いてきたみたいなただの写真史や作家論になってしまう。写真の驚きとはなんであったのか、そしてそれがわれわれをなおもひきつけるのはなぜなのか?その糸口がつかめないと、このままずっと足踏みしつづけてしまいそうで怖いです。絵画はやはり手(身体)の問題で、写真は目(視覚)の問題、と言い切ってしまうわけにもいかないところがこのテクノ画像を語る難しさでしょう。なので、エングストロームが示した新しい写真の可能性同様、写真論も新しい「明るい部屋」を待っているはずだ、と思いたいのです。
permalink  August 23, 2009

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きょうは芸術家協会の担当者が車でヴィリニュス近郊を案内してくれることに。朝10時に待ち合わせて、まずはウジュピスにあるもっとも古い墓地へ。さすが十字架の国、古いものは特に美しい。でも、名前を見ると、ほとんどポーランド人の墓でした。その後、ヴィリニュスが見渡せる高台に上り、街を見渡す。それにしても緑が多い。冬は葉が落ちるので、相当印象が変わるはず。

ヴィリニュスの街を横切り、反対側の郊外へ。しばらくソ連時代のアパートが続くエリアを走ると、一気に自然が多くなり、車は自然公園へ到着。森の中を歩くには絶好の天気で、いい気晴らしになりました。それから教会が20棟(小さいものも含む)ほど建ち並ぶ森に向かったあと、次は彫刻が立ち並ぶ湖畔のサマーハウスへ。本来はそこに宿泊している人のための場所なのだけど、カフェでコーヒーを飲みながらしばし休憩。すばらしい眺め。

それから再びオークのみが育つ森に行き、しばらく散策したあとは、有名なケナルヴェの遺跡へ。世界遺産にも登録されている、リトアニア最初の首都があった場所で、夏至祭が行われるのもここです。ネリス河岸の美しい丘陵地で、昔の人はいい場所を知っているよなぁといつもながら思う。そのあとランチに寄った場所もこれまた絶景で、眼下には森がまるで海のように広がり、中央を流れる川の流れを見ていると、ここがとてもヴィリニュスからわずか30キロのところとは思えないくらい、大自然。スープとロールキャベツ(リトアニア語では鳩なんとか、という料理らしい)を食べ、お腹いっぱい。

その後に訪れたのが、写真にあるトゥラカイ城です。100%観光地で、ほとんどツーリストしかいなかったけど、それにしても見る価値のある美しい場所です。このエリアは30以上の湖と森に囲まれ、自然公園として保護されているのですが、その湖に浮かぶ島に建っているのがこの城です。

短時間で多くの場所を回ったので、はっきりいって記憶がごちゃまぜになっているのですが、こんな素敵な場所が首都の近くにあるなんてうらやましい限り。

permalink  August 22, 2009
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