テレビ塔、と聞くだけでそわそわしてしまうほどに、テレビ塔が好きです。東京タワーやエッフェル塔などのスマートなタワーにも当然のように登るけれど、テレビ塔、それも70年代の感じを残したものは最高の好物です。すべてはベルリンのアレキサンダープラッツにそびえたつ、「あの」テレビ塔が好きで好きで仕方ないからなんだけれど、あの丸い感じとか、グレーの感じとか、展望室から見下ろす東ベルリンがチャーミング過ぎることとか(ティルマンスも撮ってましたね)、理由は数え切れないけれど、とにかくあのタワーには恋をしているのです。そんなわけで、ヴィリニュスにもテレビ塔があり、あるならば登る、というプランシプルを持っているので、当然のように馳せ参じました。
しかし、これが結構郊外に立っているので、バスに乗って20分以上揺られていくと、あたりはすでにソ連時代のコンクリートブロックのアパートだらけ。バス停から降りるや否や(バスの車窓からも撮りまくっていたけれど)東ベルリン散策を思い出して、夢中で写真を撮る。バス停から10分ほど歩くと、テレ塔入り口。結構高めの入場料(バーで飲むビール3杯分)を払い、エレベーターを待つ。15分ごとにしか登らせてもらえないので、仕方なく、簡単に設置された展示室で、91年の「血の日曜日」の記録を見学する。1月13日、ソ連軍は報道センターとテレビ塔を占拠し、非武装の市民14人が死亡、多数の重軽傷者を生んだ事件。そのときに戦車の下敷きになって亡くなった人の写真などもあり、装甲車に轢き殺された唯一の女性被害者を含む犠牲者たちの十字架が、入り口近くに建っています。いたるところで出くわす、こういった重い話に、そしてこれがわずか18年前だ、ということに、バルトの歴史の複雑さを見た気がします。
気を取り直して、エレベーターに乗り、165mのところにある展望台へ。そこでは、コーヒーなどの喫茶のほか、食事もできるようになっていて、そのテーブルのある部分が回転する仕組みになっていました。そんなわけで、コーラを飲みながら、ぐるりと一周。ヴィリニュス市街は意外と遠く、写真に撮ってもこんな感じ。それにしても緑が多い。真ん中の右のあたりが旧市街です。タワー自体はベルリンほどチャーミングではないものの、なかなか好きなタイプ。周りがコンクリートブロックのアパートなのもいいですね。普段、旅行しても自分のためのおみやげはほとんど買わないのに(カタログ・写真集は除いて)、テレビ塔となると、一気に財布の紐が緩んでしまいます。このキッチュなキーホルダーは、600円。タワーの置物は高かったので諦めました。ああ、タワー。いつかテレビ塔に住みたい。